向研究室
ERI MUKAI Laboratory
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Research
糖尿病は遺伝素因や加齢を背景に、栄養過多や運動不足などの環境要因があいまって発症します。血糖値はインスリンによって厳密に調整されていますが、膵β細胞からのインスリン分泌不全と肝臓や筋肉、脂肪組織などのインスリン作用臓器におけるインスリン抵抗性の2つの要因によりインスリンの相対的不足をもたらし、糖尿病を引き起こします。
糖尿病人口は世界中で増え続けており、2021年には5億2900万人に上り、有病率は6.1%となりました。今後30年間で2倍以上の13億人に達すると予想されています。糖尿病は発症機構が複雑であり、未だ完治できない疾患であることから、予防することが重要です。
当研究室では、糖尿病の発症メカニズムの解明、治療や予防に有用なもの(栄養素、食品、運動、習慣)の探索、について研究しています。

・膵β細胞インスリン分泌のメカニズムの詳細な解明
血糖値が上昇すると、膵β細胞にグルコースが取り込まれ、代謝されATPを産生します。このATP産生がインスリン分泌には必要不可欠であり、糖尿病状態ではATP産生が低下しています。これまでに、酸化ストレスである活性酸素種ROSによるインスリン分泌機構障害のメカニズムについて明らかにしてきました(Mukai et al, Biomolecles, 2022)。ROSに対する防御機構やインスリン分泌に対する糖代謝シグナルについて検討しています。
・血糖降下作用を有する食品成分や天然化合物の探索
さまざまな食品成分や栄養素について、血糖値に対する効果を検討しています。これまでに、ゴーヤが糖負荷後血糖値上昇を急性的に抑制すること、ならびに膵β細胞からのインスリン分泌を促進することおよびそのメカニズムについて明らかにしました(Shimada et al, Br J Nutr, 2022)。また、ブラジル原産の白甘藷であるカイアポイモが、筋肉でのインスリン感受性を亢進することで糖負荷後血糖値上昇を急性的に抑制することを明らかにしました(Kinoshita and Nagata et al, Heliyon, 2023)。

